家づくりこぼれ話!
こんにちは 建物と土地のプロ菅原です。
階段が境界
多くの家では社会のパブリックに近い
1階にリビング・ダイニングを設け、
2階に個室をつくります。
玄関と同じように家の中にある階段が、
家族の中のパブリックとプライベートとの
境界となります。
ということでした。
そこで家族以外の仲間を考えてみます。
仮に外界のパブリックから、
プライベートな家中に招き入れるのを
仲間と呼べば、
境界である玄関から内に入れない人は、
仲間ではありません。
では、家の中に招き入れた仲間は、
家族のパブリック・プライベートの
どこまで入り込むのでしょうか。
一緒の時間を過ごす以上、
トイレは仲間に
使用してもらわないわけにはいきません。
でも、個室にまで招かないのであれば、
境界である階段は
家族のパブリック空間の奥にあってもよいはずです。
さらに浴室や洗面を使う仲間は、
よりプライベート近い仲間です。
このような家族と、
通常は社会にいる仲間との関係を、
家に中のゾーンとして区分してくれるのが
階段であるということです。
スマホとSNSの普及によって
オンライン上のコミュニケーションが
広まると当時に、
じつは実生活でも触れ合う仲間が
増えているといわれます。
互いに家に招き合い、
仲間との関係を築く時代にふさわしい
家づくりを考えるのであれば、
我が家流の階段位置を
話し合っておくことは大切なことなのです。
階段の意匠
階段が想像以上に
家族や仲間とのかかわりが
深いことを認識したうえで、
あらためて階段の意匠を考えてみましょう。
階段には様々なアイデアを駆使すれば、
個性あるデザインを発揮できます。
一般的な階段では、
何よりも材質で大きく変わります。
木材の種類はもちろんですが、
欧米ではカーペットや石材が
使われることも少なくありません。
ただし、
決して滑りやすい材を使うことが
あってはいけません。
掃除がしにくいように
感じるかもしれませんが、
カーペットが選ばれる理由の
一つが安全性です。
同じ安全の見地から手すりも欠かせませんが、
ヨーロッパの古民家の景色では、
最下段の1-2段には
手すりをつけないデザインを見かけます。
歴史や文化を感じると、
少しオシャレに見えてきます。
ただし、通路に出すのは安全の面で不可です。
また、階段を造作するときには、
段板と踏み込み板を取り付けるために
「ササラ桁」という、斜めの材が使われます。
ササラ桁を壁の中に埋め込まずに
階段のデザインとして造作することもよくあります。
1本のササラ桁に段板を載せたり、
段板を挟むように
鋼製のササラ桁をデザインして造作します。
このようなデザインを考えると、
階段そのものが家具のようにも思えます。
現実に、日本の古民家では
階段状の家具で造作されている階段も
よく見かけます。
まさに、階段は躯体に造りこまれた
スケルトンではなく、
家具のようなインフィルとして
考えられてきたようにも思えます。
そうであれば、
もっと自由にデザインを
楽しんでもよさそうです。
ただし、
階段が危険な場所であることを
忘れてはいけません。
十分に安全性に配慮したうえで、
自由なデザインを楽しむことです。
大工さんだけではなく、
注文住宅の醍醐味を味わえるのが
階段なのかもしれません。
本日はこれまでです
おうちのはなしからでした。
では、では。
「家づくりを通じて、
ご家族が幸せになるお手伝いをする」
私の使命です。