家づくりこぼれ話!
こんにちは
建物と土地とお金のプロ菅原です。
住まい文化の栞
ヒステリシス
昔の秤で重さを量ると、
モノの重さを針が動いて
示してくれます。
何でもかんでも
デジタル化した現代では
数値が現れますが、
昔の秤は
中に仕込まれているバネの反発力を
利用して作られていました。
それというのも、
バネにかかる重さと変形する量が
正比例するからできていることです。
ところが、
そのバネも所定の重さや
変形量以上になると、
伸びきってしまい
元に戻らなくなります。
するともはや
秤としての機能を
果たすことはできません。
でも、
じつは多くのものが、
この正比例とは違う変形の
繰り返しをしています。
そしてそこに発生する差を、
上手に利用しています。
たとえば、
木材の乾燥については、
乾燥し始めるまで時間がかかり、
その後ある程度まで乾燥すると、
また充分に時間をかけなければ
なりません。
正比例の直線的な乾燥ではなく
S字型で乾燥が進むのです。
そこで高い湿度に接すると、
同様にS字型に湿ってゆきます。
乾燥するときの曲線と
湿潤するときの曲線が違うのです。
このような状況の変化を
「ヒステリシス」といいます。
言葉から想像する通り、
ヒストリー
=履歴を含めた状態変化を指します。
夏至が過ぎてから
猛暑が訪れ、
冬至を過ぎてから
厳寒が来るのも、
似ている気がします。
温度も一度蓄えられたら
抜けにくく、
短い外出であれば
エアコンの電源は
つけっぱなしにした方が
効率が良いのです。
建物の構造の強さを
検討するときにも、
同じようにヒステリシスの
図形が出てきます。
耐力を受け持つ壁に力を加えると、
ある程度はバネと同じように、
力に合わせて変形しますが、
臨界点を超えると
比例しなくなります。
構造計算は、
この比例する範囲の中で
計算していますが、
変形した歴史が影響して
強度が落ちることがあります。
逆に、
このヒステリシスの形状を
コントロールして
調整して作ると、
制振装置をつくることができます。
おうちのはなしからでした
では、では。
「家づくりを通じて、
ご家族が幸せになるお手伝いをする」
私の使命です。