家づくりこぼれ話!

こんにちは 

建物と土地とお金のプロ菅原です。

住まい文化の栞

祇園精舎と切り妻屋根

文化というのは、

馴染んでいるものには

分からないものです。

異なる国の目で見て

初めて文化の違いが語られ、

その言葉を聞いて

自身で気づくことも

多くあります。

たとえば、

箸や上履きの暮らしは、

私たちにとって極めて

日常的なことです。

でも、

異国に育った人には

特異な文化に映ります。

古典文学の代表格である

「平家物語」も、

当時は異国文化を感じさせる

エポックな書物でした。

大和言葉の中に、

「祇園精舎」や「諸行無常」などの

音の響きは、

まるで音楽のように

聞こえたことでしょう。

まさに

クラシック音楽の耳に、

ビートルズの楽曲が

聞こえるようなものです。

同じことが

建築物のデザインにも

数々あったことでしょう。

たとえば屋根の形です。

代表的な屋根の形は、

切り妻・寄棟・入母屋ですが、

徐々に複雑に進化していったように

感じてしまいますが、

どうやらその感覚は

古民家を見ている限りは

違うようです。

茅葺を主流とした時代には、

放射状に垂木を配置して、

材が集まる複雑な部分を、

覆うようにして煙抜きにした

入母屋の屋根のほうが

つくりやすかったのだと

思えわれます。

それに対して、

桧皮(ひわだ)や杮(こけら)という

屋根材が発明されることで、

斬新な切り妻屋根が

できるようになったと

考えられるのです。

さらには仏教の伝来とともに、

瓦という屋根材も登場します。

私たちが

太陽光発電の屋根を眺めるよりも

ずっと先進的で好奇に満ちた目で

しげしげと見つめていたことでしょう。

こうした新しい技術で生まれた、

新しいデザインは、

まさに文化としても

新しくて神聖な建物として

受け止められたに違いありません。

「祇園精舎」の響きと同じように、

切り妻の屋根は、

当時の庶民の目で見れば、

胸を躍らせる

異文化の出会いだったのです。

本日はこれまでです。

おうちのはなしからでした

では、では。

「家づくりを通じて、

ご家族が幸せになるお手伝いをする」

私の使命です。