家づくりこぼれ話!
こんにちは
建物と土地とお金のプロ菅原です。
住まい文化の栞
景色をつくる
欲しかったものを
やっと手に入れて、
なでるようにして使っていても、
いつの間にか
新品の時の喜びを忘れて、
少し粗雑な扱いをするように
なってしまうものです。
でも、
不思議なもので、
古くなってからのほうが、
まるで自分の分身のような
愛着がわいてくることもあります。
新品の喜びと、
愛着は全く別のものなのです。
そして愛着が湧いたときに、
ほんとうの心の安らぎを
手に入れることになります。
友だちだって、
初めて会ったときには
緊張をしたものですが、
気心が知れてはじめて、
親しみと安らぎのある
存在になります。
そんなことを教えてくれる、
住まいづくりの言葉があります。
「景色をつくる」です。
古来からの壁は、
土塗で仕上げられるのが多く、
左官職の手によるものでした。
腕の立つ職人は、
それはきれいに仕上がるほどに、
住まい手は傷をつけまいとする
緊張感が生まれてしまい、
気楽に住まうことが
できなくなってしまいます。
このことを知っている
腕の立つ職人は、
しっかりと仕上げた壁に
自らの手で傷をつけてしまいます。
「最初の傷は
私がつけてしまいましたから、
どうぞ気楽に住まいながら、
これから後は
お施主様が傷をつけていってください。
この家もいずれ、
お施主様の景色になってゆくでしょう。」
職人気質の左官は、
流暢に語ってくれる人は少ないのですが、
この最初の傷が
「景色をつくる」です。
心に安らぎを求める
という意味での健康に関しても、
そして傷と付き合いながら
長く暮らしてゆく持続性においても、
日本人の古い知恵には
Health & Sustainability
の心が込められていました。
傷がついてゆくことは、
年老いてゆくことと同じ、
本質的には慶びなのです。
おうちのはなしからでした
では、では。
「家づくりを通じて、
ご家族が幸せになるお手伝いをする」
私の使命です。